ハードウェアエンジニア目線の第二種電気工事士技能試験対策
⑤複線図を書く
電子回路設計系のハードウェアエンジニアな私が思い立って第二種電気工事士の資格をとったので、その技能試験に対する対策を主に書いている内容となっています。
今回は技能試験で重要項目の一つ。複線図の書き方です。
簡単に言うと
こういう接続図を
実際の配線図にしていくことです
ちょっと例が適切でないかもしれませんが。。。
施工は、接続図を実際の配線に合わせた図(複線図)にして、それからその図を見ながら配線をしていく流れとなります。
複線図を書かずに施工するという流儀もあるようですが、私としてはトラブル防止の為、回路図理解のために複線図を書くことを強くおすすめします。
複線図の書き方
色々な流儀があると思いますが、私の方法をご紹介します。
こんな問題はまず出ませんが、一番シンプルな図で説明します。
電源とコンセントだけです。
まず電源部分を分解します。VVF2.0-2C(2芯)なので2本の線になります。コンセントも2本のタイプですね。
白が設置側(N)。コンセントはNではなく設置側にWと書いてあります。ややこしいですがW(hite)ですので覚えやすいですね。
それを接続します。
コンセントなので電源はまるごと接続ですね。
ここで直接接続しないようにしましょう。●で接続部をしっかりとマークします。
単線図にはこういうジョイントボックスのマークがありますので、ここで接続するってことです。
なのでわかりやすくマルで囲っておきましょう。
ジョイントボックスの場合は、試験では実際にボックスに入れずに施工します。
ただ、ジョイントボックスでもアウトレットボックスと呼ばれるもの(四角い記号です)は実際に箱が供給されるのでその中で接続します。
ちょっと例が単純すぎたので、基本的な図にしましょうか。
電源とスイッチ、ランプレセプタクル、コンセントっていうまぁ一番シンプルな単線図と言っていいでしょうか。
これを複線図化していきます。
この場合は2回路ありますね。電源→コンセント、電源→スイッチ→ランプレセプタクルの2回路です。
各器具の理解としてコンセントは電源と並列。スイッチやランプレセプタクルは直列に入る って感じで覚えればいいでしょうか。
どちらからでもいいですが、ここでは電源→スイッチ→ランプレセプタクルの方を接続してみます。
まず ②勉強方法 で記載したこの基本図を覚えてください。
スイッチが来てから負荷(ランプ)です。この順番は絶対です。
で、実際の複線図化ですが、
電源ラインから始めます。
電源をN(白)とL(黒)の2線にして、
① 黒(L、DC的に言うとプラスです)の方からスイッチへ接続します。
ジョイントボックス内では接続をするので●をつけておきます。
スイッチは極性は無いですからどちらに接続してもOKです。
② スイッチの反対側からランプレセプタクルへ向けて接続します。
色は白(便宜上グレーにしてます)にしてますが、白じゃなきゃいけない!ってわけではなく
①の方で黒(これは電源(L)なので絶対黒)だったので残りの色が白となるから白にするわけです。
③ ジョイントボックスを経由してランプレセプタクルへ接続します。
ここは黒としていますが、設置側で白(は絶対)を使うので余ってる黒にしたってことです。
④ ランプレセプタクルの設置側と電源のNを接続します。
電源のNは接地なので絶対に白を使います。
そこと接続するランプレセプタクルは極性がありますのでWと表示されている端子の方に接続します。
色は気にしなくて、とりあえず線を引いてから色を後付けしていくという方法でも良いかと思います。
で、次は電源→コンセントの方です。
これはこのまま電源のN/Lをコンセントの両端に接続するだけですね(⑤、⑥)
極性を間違えないようにしてください。
これで複線図終了です。ここまで出来ているとこの後の配線が楽になるのかと思います。
ちなみに実際の試験では、問題用紙の空いたスペースを使って複線図を書きます。
そんなに広いスペースではないので、消せるように鉛筆と消しゴムを使って書くか、もしくは消せるボールペン等を使うのがオススメです。
というのも、色を使いたくなるからですね。配線の色、長さ、接続方法等を記載するのに色があるとトラブルが少なくなります。
で、私は100均ではない普通の文具店で消せるボールペンを買って使おうと思いましたが、いまいち薄いんですよね。なので実際の試験ではシャーペンと青ペンのみでした。赤や緑も使いたかったんですけどね。
その後、ダイソーで消せる水性ペンみたいなちょっと太くて書きやすいペンを見つけたので、あれがあればよかったなぁって思った次第。
と、基本的には上記の方法でほぼ応用が効くかと思います。
他にもブレーカーや端子台はどう接続するの?とか
わたり線、3路スイッチ、4路スイッチとややこしく感じるかもしれませんが、教科書で何度か練習すれば大丈夫かと思います。
これらもシンプルに覚えられます。
わたり線は共通化するだけ。
コンセントの非接地側(L)は電源から直に行ってて同じ信号なのでコンセントの側で接続しちゃえば線が少なくて良いんじゃないの?ってことです。
スイッチやコンセントって都合よく2個端子があったりするんです。
この上の例だと、先にコンセントに配線して渡り線でスイッチへっていうこともできます。
どちらも同じですし正解です。ただ下の方が不要な電流がスイッチの方に流れないってことで良いという人もいますし、私も下の方で行いました。
3路スイッチは向きを合わせて同じ穴に同じ色の線を入れればOK。
4路スイッチは、3路スイッチの間に同じ配線で中にいれるだけ。
複雑に考える必要はありません。
これだけ覚えたら4路スイッチが2個あろうが100個あろうが問題有りません。
もう一つ。パイロットランプの動作を覚える必要があります。
これは単線図だけではわからなくて、施工条件にこんな感じで文字で書いてあります。
常時点灯…常に点灯しています。
同時点滅…スイッチを入れたら点灯します。
異時点滅…スイッチがOffの時に点灯します。
この3種類です。それぞれ接続が違いますが、異時点滅ってのは滅多に問題に出ないかと思います。
また、点滅っていうとLチカのようにピカピカ点滅をイメージするかと思いますが違います。スイッチに連動して点灯・消灯をするってだけで、そんなんで点滅っていうなよーとは思います。
回路で示しましょう。便宜上DC的に書いてみます。
常時点灯
スイッチに関係なく常に電圧がかかっているので点灯しっぱなしってことですね。
同時点滅
スイッチを入れると電圧がかかり点灯します。負荷と並列ですね。
異時点滅
スイッチが入ると両端が短絡されるので電圧がかからなくて消灯します。
でも、この回路納得してません。
スイッチが入ってない時はパイロットランプと負荷(ランプレセプタクル)が直列接続となり電流が流れますよね。スイッチオフじゃないじゃん。
でもこういうもんだそうです。内部抵抗の違いで負荷の方にはほとんど電圧がかからないんだそうです。
まぁ異時点滅自体がほとんど問題として出ないそうなのでまぁ受け流しましょうか。
っていう基本を覚えて、教科書を見ながら複線図をしっかり書けるようにしていきます。
問題を見て複線図を書き終わるまで5分を目標にしてください。
接続部を明確に!
複線図を書き終わった後、すぐに工具持って始めずに大事な接続部を明確にしておきましょう。
要は、リングスリーブで接続するのか、差し込みコネクタで接続するのかです。
リングスリーブならサイズと刻印の種類を、差し込みコネクタならば何本用のを使うのかをきっちりと複線図に書いておきましょう。
問題の施工条件に以下の記載がありますので、しっかりと見て間違えないようにしましょう。
AとかBてのはこのジョイントボックスの横に示してあります。
また、
っていう書き方もあったりしますのでそれに従う必要があります。
私の場合ですが、書き終わった複線図に、こんな感じで記載していきます。
差し込みコネクタの場合は□にしてその横に端子数。
リングスリーブの場合は、○にしてその横に刻印。
リングスリーブは刻印だけじゃなくてサイズもありますが、刻印がわかればサイズも自ずと決まります。
で、記載したサイズのリングスリーブや差し込みコネクタが支給されているのか確認します。試験のコツの方で書きますが、リングスリーブは若干余り、差し込みコネクタはぴったりに支給されるはずですので、ここでも複線図の確認ができることになります。’
リングスリーブの覚え方
リングスリーブを用いる場合、接続する線によってサイズをあわせ、刻印も指定通りにする必要があります。
その覚え方です。
ネットとかを見ると表面積から計算する方法とかありますが、第2種に限っては以下の方法が一番カンタンかと思います。
左が電線の組み合わせに対するリングスリーブのサイズと刻印。
1.6mmの電線を1ポイント
2.0mmの電線を2ポイント
としてポイント換算したのが右図になります。
その合計ポイントで以下のように決まります。
左から順にポイント数、サイズ、刻印です。
つまり、1.6mmが2本、2.0mmが1本だと合計が4ポイント。だから小サイズのリングスリーブに小の刻印!って感じです。
これが一番覚えやすいのかと思ってます。
配線長の計算
最後に配線長も計算しておきます。
配線をまちがって切ってしまうとリカバリーが厳しくなりますから、目先の時間はかかりますが、以下の点において配線長の計算をしておくことをお勧めします。
- 配線の種類が間違っていないか確認
- 配線の長さを間違っていないか確認
- 渡り線はどこから取るのが妥当か確認
- 配線の割り振りはどうするのか確認
- 以上により複線図のレビューにも役立つ
配線は実際に使用する長さぴったりか100mm程度若干余るくらいで支給されますので、配線長を計算することで、配線種を間違えたとかのうっかりミスを防ぎます。
特に配線を間違って切っちゃうとリカバリーが難しくなる可能性もありますからね。
また、渡り線を必要とする際に、どこから取るのか?も重要となります。
3芯ケーブルから取るのか、2芯ケーブルから取るのか、予め長さ計算をしていけばここから使えるなってわかります。
もう一つ。同じ配線が2本提供される場合があります。
2022年の問題は確認してませんが、2021年には1問(No.8)ありました。
その場合、適当にガンガン切っていくとちょうどよい長さが切れない(どころかNo.8では足りなかった)ってことにもなりかねないので
あらかじめ線の割り振りが出来るとキレイにやりやすいです。
具体的にそのNo.8を使って説明してみます。
No.8で支給される電線は
VVF1.6-2C 1100mm 2本
VVR2.0-2C 300mm 1本
です。
VVRの方は指定200mm+100mmで300mmぴったりです。
残りは全部VVF1.6-2Cとなりますが、そのVVF1.6-2C電線が必要な箇所は4箇所。
教科書どおりの余裕をつけて計算すると
イ 250mm+100mm+20mm=370mm
ロ 250mm+100mm+50mm=400mm
ハ 150mm+100mm=250mm
端子台 50mm+250mm+100mm=400mm×3本
となります。
※ちなみにHOZANの動画では引掛シーリングの20mmを今回は計算しませんとか言うときがあって、なんで?って思ってます。どこかに説明があったのだろうか?
で、これらを合計すると2220mmなので支給合計2200mmに20mm足りません。
何も考えずにガンガン切っていったら、最後に線が足りないってことになります。
まぁそのくらいの長さの違いなら失格にはなりませんので問題ないとも言えますが気持ち悪いです。
なので、私の場合は上記の計算をしてから
まずはイロハの370,400,250で切って、400×3を均等に1100÷3≒370って感じで370mm位で3本切って使います。端子台は立体的に配線しない(線を曲げない)ので50mmは短くてもいいでしょうし。
また、この問題ではないですが、2.0と1.6を勘違いしてたとかの場合は、計算するとあきらかに配線が足りないとか余りすぎるって気づくので自分の書いた複線図が間違っていると気づけて大事かと思ってます。
つまり、配線は0~100mm程度余るように支給される(上記の例のように20mmオーバーすることも有るけど)ということを前提にして複線図の確認ができるってことになります。
また、配線は最初に全部まとめて切断することは、失敗したときのリカバリーを考えたらお勧めしかねます。
全体を接続するのは最後でいいですが、各器具への接続はその度に線材を切り出して、しっかりおこなっていくほうが良いかと思います。
それで最終的には複線図には
- 具体的は配線図(複線図)
- リングスリーブや差し込みコネクタの種類や位置
- 配線種類と配線長、配線の色
が記されていることになります。
これがあればあとは実際に配線していくだけですね。
もちろん、すぐに配線せずに、しっかりと見直してください。
電源から黒線をたどってスイッチに行ってランプに行って電源の白に戻ってくるって感じで追いかけていけるはずです。
次は事前練習についてです
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